遥かなる銀河へ
二千億個の星のオアシス天の川銀河から深宇宙へ | ||||
![]() ![]() ![]() |
「BIG BANG」超高温高圧の火の玉から始まった、これが私達が知るビッグバンと呼ばれる宇宙の始まりです。
1929年エドウイン・ハッブルが宇宙は膨張している、遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっていると発表し、1946年ジョウジ・ガモフが宇宙は「火の玉」から誕生しなければならない」と言ったのです。ビッグバン宇宙論の誕生です。
ビッグバン開始3分間、粒子と反粒子が出会うと光のエネルギーとして消滅してしまう「対消滅」の状態から、ほんの一部残った粒子は素粒子を形成し、更に現在の星を構成する物質の源である軽い元素、水素、ヘリウムが作られた、プラス電荷のイオンとマイナス電荷の電子に分離された状態すなわちプラズマ状態でこれらの元素が存在したという。
ビッグバン開始から30万年後、宇宙は4000度まで低下し、高温でプラズマ状態だった宇宙は、光が直進できる晴れ上がりを迎えました。この時発した光が今私達が目にすることができる137億年前の宇宙の姿です。
1965年、ロバート・ウイルソンとアーノ・ペンジアスは宇宙が4000度まで低下した時発した光を宇宙のあらゆる方向から電波(光が赤方偏移で電波にまで伸びた状態)として捕らえたのです。絶対温度3度(−270℃)の3K宇宙背景放射と呼ばれる電波です。
1980年代に入り、日本の佐藤勝彦氏、アメリカのアラン・グース氏は、10の−36乗秒という極少の時間で真空が相転移し真空エネルギーが熱エネルギーに変化することを計算でつき止め、インフレーション理論なるものを提唱し、ビッグバン宇宙論が抱える問題、銀河や銀河団、グレートウオールの宇宙大規模構造を説明するには宇宙の地平線距離が小さい事、宇宙が何故一様で平坦なのか?等を解決したのです。
1992年、NASAの人工衛星COBEが宇宙背景放射観測、2003年マイクロ波観測衛星WMAPは宇宙が平坦であることを観測で立証し、インフレーション宇宙論を後押ししています。
インフレーション宇宙論が予言する子宇宙、孫宇宙・・・と続く無限の宇宙が現実味をおびてくる。
”人の子が母親の愛に育まれ、母の側で息付きしている時は、母の偉大さを知らないように”、我が母なる銀河系を私達は知らない、あのカシオペアの自慢話しのとばっちりを受け、海の怪物の生け贄にされた、一人娘アンドロメダ姫のアンドロメダ座に進路を取って、私達に最も近い銀河で230万光年先のアンドロメダ銀河を訪ねて我が母なる銀河の姿を想像してみましょう。
アンドロメダ銀河は、大小マゼラン星雲と私達の天の川銀河とともに重力で結合された四重銀河であり、500万光年30個あまりの銀河で構成される局所銀河群の一員で、あの銀河鉄道999の終着駅だ。
アンドロメダ銀河は、1924年エドウィン・ハッブルにより距離が測定され、初めて私達の銀河系の外の天体であることが明らかにされたのです。
下の写真で、アンドロメダ銀河に寄り添うように小銀河M110(NGC205)とM32が見えます、この二つの銀河はいずれアンドロメダ銀河に落ち込む運命にあります、そして我々の銀河系もまた遠い将来アンドロメダ銀河と合体してしまいます、秒速100Kmで接近しているお互いの銀河が衝突するのはいつ?計算してみてください。
絶世の美女アンドロメダ姫は父のケフェウス座と母のカシオペア座に見守られながら夫のペルセウス座と共に秋の夜空に輝きます、またちょうこくしつ座にある南天のアンドロメダ星雲と言われる系外銀河を見てみます。(今は観望の絶好期?、いやいや今あなたは、宇宙船での旅をしているのです365日いつでも観ることができます!)
![]() そのころ、エチオピアでは事件が起きていました。王妃のカシオペアが、海の神の娘達より私の方が美しいといった為、海の神ポセイドンが怒り、エチオピアの海岸に津波を起こし、怪物くじらを送り、荒らしていました。ポセイドンの怒りを静めるためには、王女アンドロメダが怪物くじらの生け贄になるしかありませんでした。アンドロメダは涙ながらに海岸の岩に縛られています。メドゥサの首をもって帰りを急ぐペルセウスが空からこの様子を見ました。アンドロメダに襲いかかろうとするくじらに、メドゥサの首を突き出しました、怪物はたちまち海の中で石になり、エチオピアには平和が戻り、ペルセウスはアンドロメダと結婚しギリシャに帰ったと伝えられています。 |
系 外 銀 河 | ||
![]() |
![]() |
![]() |
アンドロメダ銀河 M31(NGC224) | ちょうこくしつ座渦巻銀河NGC253 | 子持ち銀河M51(NGC5194) |
230万光年 | 1040万光年 | 2510万光年 |
拡大します | 拡大します | 拡大します |
沼尻氏撮影 詳細情報はこちら | 田村氏撮影 詳細情報はこちら | 沼尻氏撮影 詳細情報はこちら |
※銀河系の正体
我々の星が位置する銀河系は,約2000億個の星と一緒に大きな集団を形成しています。銀河系は上から見ると丸く渦を描き,横から見ると凸レンズのように星が集まっています、上の写真のアンドロメダ銀河から我が天の川銀河を想像して下さい、ほぼ同じ大きさです。中心部を取り囲むように、老年期を迎えた数十万の星の集団球状星団が集中しているのを想像して下さい。
直径は10万光年,厚さ中心付近で1万5000光年、太陽系は、その中心から2万8000光年離れたところのオリオンアームと言われる領域に位置します。つまり我々は銀河系の断面を中心方向に、星の密集しているところを見て天の川(
Milky Way )と言っています。
そして中心にはあの射手座Aスターと言われる宇宙の怪物暗黒巨大質量星ブラックホールが潜んでいます、そして中心核の周囲では星が1000km/sもの高速で運動しているのです、この運動を支えるのには太陽質量の260万倍もの重力源が必要と言われます、すなわちブラックホールしか考えられないということです。
太陽はこの銀河系の中心を軸に秒速200kmで回っていると言います、もちろん我々の地球を含めた9惑星を引き連れて・・・・・・・・・・。それでも一周するのには2億2600万年かかります。さらに先に観た系外銀河はこの宇宙に1000億もあるのです、こんなことで驚いていては、宇宙船は引き返さねばなりません、137億年前ビッグバンで誕生した宇宙は、今尚ものすごいスピードで膨張を続けていると言います、このまま膨張を続けるのか、またいずれ収縮に転ずるのか議論が分かれるところです。
![]() ハッブル宇宙望遠鏡の科学者達のチームが、宇宙の年齢はと発表しました。 ハッブルのチームは、10年前にハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられた時、その主要な科学的目的の1つは、宇宙の年齢を決定する事、すなわち、ハッブル定数( 宇宙がビッグバンから膨張する速度)の値を正確に計算する事と言っていました。 6500万光年の距離、18個の銀河、およそ 800個のケフェウス型変光星と呼ばれる一種の脈動星を調べ8年間、宇宙の年齢について研究してきた結果として、 10パーセント以内の精度で膨張速度を1メガパーセク毎に秒速70キロメートルという値を発表しました。 これは、銀河が地球から3.3光年離れるごとに時速160,000マイル速くなって動いていることを意味しています。 そしてそれは、宇宙が120億年前に生まれたことを意味しています。(1メガパーセクは326万光年、1光年はおよそ5兆9000億マイルです、1マイルは約1.6km) 研究チームのリーダー、カリフォルニア州パサデナのカーネギー天文台の天文学者ウェンディ・フリードマンが声明で述べました。 |
ろ座銀河団の棒渦巻銀河 NGC1365 拡大します |
田村氏撮影 詳細情報はこちら |
2003年10月30日 宇宙年齢は141億歳 国際プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」チームは、地球から約20億光年までにある銀河20万個の分布構造の分析から現在の宇宙年齢は141億歳であると発表しました。 NASAは2003/02宇宙背景放射観測衛星(WMAP)による測定で宇宙年齢は137億歳と発表しております、上記チームはWMAPの結果もカミして計算しており、正確な年齢だと言っております。 更に宇宙は、星などを作る物質は5%、正体不明の暗黒エネルギー73%、暗黒物質(ダークマター)23%であることも計算結果として発表しています、宇宙には正体不明な未知なるものが96%も満ちあふれていることになります。 |
※スター・バースト銀河
上のちょうこくしつ座の銀河NGC253の中心1000光年にもおよぶ範囲内で、今もなお爆発的に星が誕生しています、このような活動的銀河をスター・バースト銀河といいます。さんかく座の中、直径1500光年ものスター・バースト領域を持つ渦巻き銀河M33(270万光年)、ちょうこくしつ座の中で直径15万光年の青いリングを持つ車輪銀河(5億光年)などがある。
銀河が衝突するって?無限に広い宇宙でそんなことがあるものか!NASAのX線観測衛星「チャンドラ」が2000年8月16日からす座にNGC4038とNGC4039二つの銀河が衝突する現場を捉えました。この銀河はアンテナ銀河と呼ばれ衝突の影響で、爆発的に若い星団が誕生している領域です、ここには100万個の星の集団が1000個以上も誕生しています。 このチャンドラは99年7月スペースシャトルコロンビアが配備したものです、女性のアイリーン・コリンズさんが船長を務め話題になりました。チャンドラX線天文台公式サイト(英語) |
中心にブラックホールがあると言われる最も明るいおおぐま座(カリストとアルカス母子の神話が悲しい)の子持ち銀河M51、上の写真で明るい中心は直径が80光年もあり、その明るさはなんと太陽の100万個分にも相当する。
5000光年にもわたってプラズマのジェットが伸びる乙女座の銀河M87(5200万光年)等が代表的活動銀河で、特にM87は10万個以上の星を有する球状星団16000個に取り囲まれた巨大な銀河です。
また、最近の調査で、太陽系位の大きさの領域から太陽の1000万倍のエネルギーを放出するブラックホールがあるのではないかと思われているおおくま座のスターバースト銀河M82(1200万光年)が話題を呼んでいる。
これらの活動銀河の中心は太陽の数十億倍の質量を持つ巨大ブラックホールであることが、今ハッブル宇宙望遠鏡によって明らかにされつつあります。
![]() |
![]() |
さんかく座の渦巻き銀河M33 | アンテナ銀河NGC4038/4039 |
270万光年 | 6300万光年 |
拡大します | 拡大します |
田村氏撮影 詳細情報はこちら | |
![]() |
|
おおくま座 レンズ型銀河M82 | |
1200万光年 | |
拡大します | |
田村氏撮影 詳細情報はこちら |
春霞の夜空には、天高く昇ったネメアの森の化け獅子、獅子座を見ることができます。可哀相に神話ではヘラクレスに三日三晩首を絞められ殺されてしまいます。この獅子座のθ星の少し南2.5度位の位置に3個の銀河を見ることができます。M65・M66は小口径でも良く見えます。乙女座銀河団等と一緒に深宇宙へ探りを入れてみましょう。
話は、ちょっと外れますが、この獅子座が秋も深まる11月中旬の明け方東の空に昇る11月17日〜18日頃、獅子の大鎌で一大天文ショウ?が行われます。
98年は沢山の流星に感動した人もいたでしょう、そして99年は11月18/19日、日本でも100〜200個、ヨーロッパでは18日2000〜5000個の流星雨が観測されました・・・・・・2001年は日本の空で15000個もの流星雨が起きました・・・・・・・・・・・・一台天文ショー。
しし座θ星の近くにある三個の銀河 | ||
![]() |
![]() |
![]() |
獅子座の渦巻銀河(NGC3628) | 獅子座の銀河M65(NGC3623) | 獅子座の銀河M66(NGC3627) |
2700万光年 | 2700万光年 | 2150万光年 |
拡大します | 拡大します | 拡大します |
田村氏撮影 詳細情報はこちら |
それでは、艦隊は、これから銀河の密集地乙女座・かみのけ座付近から、漆黒の宇宙空間を通り深宇宙へと進路を取ります。華やかに冬の夜空を飾ったオリオン達が西の空に沈む頃、天頂には少し寂しげな春の星座が昇ります、ぽっかりあいた宇宙の覗き窓から深宇宙の神秘を堪能して下さい。
プレアデスの乙女達 散開星団・惑星状星雲・星の輪廻転生。 |
![]() |
太陽系惑星とボイジャーの旅 木星から冥王星の正体と土星探査計画 |
![]() |
小惑星の正体 ラグランジュ点 |
![]() |
太陽系惑星とボイジャーの旅 水星から火星の正体と火星探査計画 |
![]() |
ルナー・A月への旅立ち アポロ13号から21世紀の月探査 |
![]() |
プラネットB火星へ 270,694人の夢と願いを乗せて |
![]() |
オリオン大星雲 生命の息吹が聞こえてくる |
![]() |
深宇宙へ おとめ座銀河団・かみのけ座銀河団。 |
![]() |
球状星団の旅 生まれる星があれば年老いてゆく星もある。 |
![]() |
ブラックホールの謎 降着円盤・事象の地平面。 |
![]() |
国際宇宙ステーション計画 2003年完成めざしていよいよスタート |
![]() |
彗星・流星の正体 ヘールボップ彗星・しし座流星群の謎 |
![]() |
黄道12星座の旅 12星座の歴史・星図・神話・運勢占い 。 |
![]() |
南天の空 ケンタウルス・大小マゼラン星雲。 |
![]() |
プラネットワールド 太陽系惑星の謎を探ります。 |
![]() |
神秘なる恒星を訪ねて 一等星の固有名・宇宙空間ってどんな距離 |
![]() |